国際バカロレアの教員として
わたしが担当している科目はEnvironmental systems and societies (ESS)です。2023年の3月1日から28日までほぼ、1ヶ月をかけてオンライン研修(workshop)に参加してESS担当教員として認証されました。使用言語は英語で、指示された内容を読み、指定された文書を読み、自分で授業計画を作成して提出します。ESSのEnviron systemの方はほとんど基礎生態学と応用生態学を扱っているので、内容はほぼ知っています。
しかし、研修では国際バカロレアの核(core)であるCAS(creativity, activity and service)とESSの授業を連携させるために、どんなテーマでどんな活動をデザインするか?こんな課題が一週間に2〜3本飛んできます。教育学の大学院生向けの集中講義を受けている感じでした。参加者が互いに提出した資料に前向きにコメントすることも課せられていました。コーディネーターはスペイン在住で、2回Zoomでつないだオンライン会議がありました。アメリカ合衆国の二人アフリカの一人そして、インドネシアから一人の参加がありました。
国際バカロレアでは、各教科ごとにInternal assessment (IA)、日本でいう課題研究が課せられます。その研究テーマ、研究仮説の設定と、評価も実際に生徒が提出した論文を、評価基準に基づいて評価する訓練も受けました。国際バカロレアでは各科目、つまり数学、生物学、化学、ESSなどでIAを実施するので、日本国内で普及しているSSH(スーパーサイエンスハイスクール)よりも個々の生徒が多数の科目での課題研究に挑む必要があります。
Societies関連では、20世紀の終わり頃まで、ガソリンに添加されていた鉛が胎児や幼児の発達に悪影響を与え、暴力事件の発生にも関与していたとする記事を読みました。ニューヨークのジュリアーニ市長が就任する際に暴力事件を減らすことに注力したことはわたしの記憶にもあったのですが、彼の就任前からガソリンへの鉛の添加が禁止されたため、暴力事件の件数は減少に転じていたそうです。世界中で共有されている、Societies関連事例には福島第一原子力発電所、水俣湾水銀汚染もありました。
日本の学習指導要領では、教科の授業をどのように展開するのかについては、「学習指導要領解説」が出版されています。これを読みこんで、そして、この精神に基づいて作成された複数の教科書が検定を受けて出版されます。しかしながら、「生きる力』の育成に、この教科のこの単元での学習をデザインするのか?という具体的な行動に直接つながるような研修は、都道府県の教育センターに任せられます。国際バカロレアと比較して、都道府県・学校の裁量を重視している感があります。
学習指導要領解説は文部科学省のHPから無料でDLできますので、どうぞご覧になってください。学習指導要領本体とは別物であることをお忘れなきよう、力作がそろっていますし熱い理想が語られています。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1407074.htm
2024年、6月28日から6月30日まで週末をつぶして、Environmental systems and societies (ESS)の研修(workshop)に参加しました。国際バカロレアのシラバス(日本の学習指導要領にあたります)が改訂されたために、急遽の開催でした。こちらの報告は次回いたします。新しいESSシラバスの要約を下記でご覧いただけます。