探究的な学習:学習成果の共有
小学校の授業を見学させてもらって気づいたのは、学習成果が掲示されていて生徒が互いの成果から学び合うことができるように配慮されていることでした。高校では学習成果というのは何でしょうか。採点された定期テストは学習成果のひとつだけれど、それを掲示して学び合うことにはなりにくい。どちらかというと、生徒間の序列を強く意識させてしまうでしょう。そんなとき、学会でやっているポスター発表を使えばどうか?と着想したのです。
自然観察実習やその事前学習として実施した水族館・博物館での学習成果を成果をポスターの形で発表すると、自然な形で探究的な学習が進み、成果を共有することができました。身近な自然観察の手始めとして実施したのが、学校の中庭で春に花の咲いている雑草を5種類、根こそぎ採集して同定する実習でした。雑草なんて5種類もないという声があったけれど、採集した標本を図鑑を使って同定してゆくと実は28種類もありました。
足元で、小さな花しか咲かさない雑草を探究的な学習のテーマに設定すると、各自の採集成果の違いから学び合うことが自然にできました。日本語の名前はカタカナ表記されていて標準和名と呼ぶこと(たとえば:サザンカ、山茶花とは書かない)。国際的な名前は学名といって、リンネから始まった二名法でつけられていること、(Cameria sasanqua)も体験的に学べました。
それを現代的に発展させると、花が咲いている雑草を5種類写真撮影してみるという風になります。図鑑を1クラス40人分揃えることはとても大変でしたが、現在では写真の画像をもとにインターネットで検索すると、なかなか良い検索結果が得られます。植物を撮影する場合で、どの個体を、どう写すか(=生徒の見方)によって別物のように見えることが多々あります。やさしい写真を撮る人ですね・・・というような褒め言葉を用意して、実習を行うとと良いと思います。