不登校と睡眠障害

公開シンポジウム:不登校現象に関する研究の到達点 2025年3月16日(日)

医学・脳科学における研究動向と題して、中井昭夫(武庫川女子大学教育総合研究所・大学院臨床教育学研究科教授)の発表があった、不登校への理解とその対処を考える上で貴重な発表でした、以下に要約を記します。

不登校のこどもたちの91%に睡眠障害や頭痛などの身体愁訴がある

鈴木菜生ら 不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討 脳と発達 49:255-259.2017

睡眠関連疾患は発達障害特性(ASD、ASD /ADHD、ADHD)を高い割合で伴う。

中井昭夫 特集 小児の睡眠関連疾患「小児の睡眠関連疾患を診る〜専門病院の立場から〜」 睡眠医療 11:177-181.2017

睡眠関連疾患は脳科学に基づく子どもの睡眠・生体リズムの治療によって、治癒できる

兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どものリハビリテーション・睡眠・発達医療センター がその治療にあたる

https://www.hwc.or.jp/hospital/kodomo

アメリカ小児科学会の勧告(2014)

1)学業と心身の健康を維持するためには毎日8.5〜9.5時間の睡眠時間が必要であるが、睡眠不足を昼寝や週末の寝だめでは補填できない。

2)思春期は人生で最も体内時計が夜型化する年代なので、(あくまで平均だが)23時前に寝て、朝8時前に目覚めるのは難しい。

3)したがって睡眠時間を確保するためには現在の一般的な登校時間である朝8:30は早すぎ、もっと登校時間を遅くするなど工夫が必要である。

英国で13〜16歳(N=2049)の生徒を対象に始業時間を午前8:50から10時に変更した

移行2年後に病欠が55%(15.4%が7.5%に)減少した。しかし実験終了後は元に戻ってしまった。16歳の生徒が受ける試験で、一定水準の点を超えた生徒はGood評価を受ける。変更後2年で、Good評価を得る生徒の割合が12%増加した。

大阪府内で始業時間が遅い高校

大阪府立西成高等学校 ステップスクールとして 9:35始業。https://www.osaka-c.ed.jp/nishinari/

大阪府立中央高等学校 昼夜間単位制高校として 1限開始は10:50です。https://www3.osaka-c.ed.jp/chuo/

大阪府立大手前高校定時制では1限開始は17:40です。https://www2.osaka-c.ed.jp/otemae-p/