コロナ禍経て不登校・暴力増加


新型コロナウイルス流行による初の緊急事態宣言は一斉休校のさなかだった

 それから5年が過ぎた。コロナ禍が終わり、学校は日常に戻ったように見えるが、不登校は増え続け、特に小学生で暴力行為が増加するなど、子どもの心身の変化を指摘する声は少なくない。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO88918580W5A520C2CE0000

初の緊急事態宣言が出された時

 私は高校1年生の担任だった。生徒たちを迎える始業式もなく、入学おめでとうとの祝福も受けずに高校に在籍する日々が始まった。

ヒリヒリするような緊張感の中で、奇数番号生徒は午前・偶数番号生徒は午後という登校が始まった。もう多くの人々は忘れているけれど、9月から新学期を始めようという声すらあがっていた。

スタディサプリのアカウントへのログインを電話でお願いして、クラス全員とオンラインでつながったときは、心底ほっとした。

登校が半日から、午後までになったときに、昼食時の黙食を徹底するために担任も教室に入って黙食しようとした。生徒が私の弁当に目をつけて、目で笑いながらそれをクラス全員に見せて回った。なんとも愉快な時間になった。

文化祭も体育祭もない学校に、生徒たちは倦まずに来てくれた。11月にみかん狩りの遠足に行けたことが本当に幸運だった。2020年度、最初で最後の楽しみだった。

当時の生徒たちはもう15の春を超えてきた大人だったのかな?うちに来てくれている子どもたちは、2020年をどのように過ごしていたのだろうか。

平日に勤務する学校に来ている高校1年生たちは5年前、小学校5年生の10歳の壁をどのように越えてきたのだろうか?いまの高校1年生と5年前の高校1年生は何かが決定的に違うような気がする。

コロナ禍を小中学校で経験した子どもたちはとてもこわれやすく、繊細なように思えるのだ。そのような一教員としての肌身の感覚と、新聞記事の危惧がここでつながった。これは、これからの日本社会の根本問題なんだと。