ゆとり教育と授業時数を振り返る
学習指導要領の改善に向けて
- 豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚の育成
- 多くの知識を教え込む教育を転換し、子どもたちが自ら学び自ら考える力の育成
- ゆとりのある教育を展開し、基礎・基本の確実な定着と個性を生かす教育の充実
- 各学校が創意工夫を生かした特色ある教育、特色ある学校づくり
授業時数の縮減
- 年間授業時数は、現行より年間70単位時間(週当たり2単位時間)縮減。
- 高等学校の卒業に必要な修得総単位数は、現行の80単位以上を74単位以上に縮減。
- 授業の一単位時間の弾力化。
これが、2004年実施の学習指導要領改定に向けて書かれた方向性です。2024年現在の教員の長い残業時間、30万人を超える不登校生徒の数に歯止めがかからない状況から見ると、実に望ましい方向性が示されていました。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/1320944.htm
年間授業時数の変遷
20世紀の日本の学校は、土曜日にも授業をしていた。それが隔週週休二日になり、21世紀になって完全週休二日になった。この時期の学習指導要領は、上記のゆとり教育を目指した。
しかし、2003年のPISAショックで「このままの方向性でいいのか?」という危機感が、教育関係者の中でも高まった。そして、完全週休二日の体制のもとで、授業時数は再び増加した。小学校での増加が、中学校に比べて多いのがわかる。
学習指導要領 | 小学校6年間の総計 | 中学校3年間の総計 |
詰め込み教育時代(週6日) | 5821 | 3535 |
ゆとり教育時代(週5日) | 5367 | 2940 |
GIGAスクール時代(週5日) | 5785 | 3045 |
2003年のPISAショック以降、日本のPISA調査での国際的順位は上昇し、新型コロナウィルス感染症後でも日本は間違いなく世界のトップにある。不登校の生徒数が過去最高になり、教員の時間外労働も改善されたとは言えないこの状況で、次はどんな方向に向かえばいいのだろうか?子どもたちの状況を真摯に受け止めながら、改訂が進められることを願う。