いま読んでみる:2006年施行の教育基本法
教育の目標は5つです
そのうち2つめの、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。」これがフリースクールを開設した私が、不登校の子どもたちの将来を想うときにもっとも重んじる目標です。
4つめは、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。」これは地球市民として生きてゆくことを想定したものですね。生命には家族や自分自身もふくまれると感じてもらえるかな?
始まりは家庭教育
生まれてきたた子どもたちは、父母やその他の保護者のもとで、生活のための必要な習慣をつけ、自立心をやしなう、これが家庭教育の場面です。この場面はいまでもかなり容易に想像できる。両親や祖父母、兄弟姉妹という家族の関わりの中で子どもたちは成長する。
学齢期の義務教育
ここから学校教育の場面が始まる。「義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする」。
この義務教育の規定は、さきに掲げた教育の目標のひとつである、「個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うこと」に適っているだろうか?
学校教育についての規定
「学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。」
「この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」
パンデミックを経験した学校で
いまから18年前の12月に施行された、改正「教育基本法」。あれから日本は東日本大震災を経験し、世界は新型コロナウィルス感染症のパンデミックを経験した。子どもたちが学校に登校しない日々、大人は家にいてリモートワークを始めた。通信技術は革新されて、5Gの時代が来ていた。
教員は必死で子どもたちとつながろうとした。タブレット端末の配布、個人アカウントの作成、リモート授業の実施・・・うまくつながらない家庭には、電話連絡を重ねてやっとのことでクラスの生徒全員とつながった。教育基本法が改正された2006年には想像もできなかったことを、学校はやってのけた。
ひょっとしてあの時に教育の世界は変わったのじゃないだろうか、もう元に戻れない状態に。個々の端末で学習できる環境に、学校生活を営む上で必要な規律とは何を意味するのか?「体系的な教育が組織的に行われる・・・」この表現は、いまでは集団での一斉授業を連想させてしまう。
教育基本法の全文は下記でご覧になれます